大好評の「メルヘンの野食歳時記」に続き、今度はいよいよ現在、実際に狩猟をされている江口さんのコラムの連載開始です。毎週木曜に更新予定です。
イノシシの肉が一般には「ボタン」と言う事はは多くの方がご存知です。 ちなみに「モミジ」と言えばシカの肉です。 イノシシの肉を丸く皿に並べると赤身と脂肪が綺麗な牡丹の花のように見えることからその名が付いたのでしょう。或いは煮込んでいる内に肉が牡丹の花びらのように縮むからとも言いますが、 冬場の脂ののったイノシシを鍋にすると最高に美味しい。
A、イノシシの旬は冬ですからやはりボタン鍋でしょう。
深い鍋にイノシシの肉、大根、小芋、きのこ類、セリ、レンコン、コンニャク、豆腐、赤味噌、白味噌、日本酒、だし汁、忘れてはいけないのがショウガです(後で身体が温まってきます)。
肉に脂ののりが少ない時はバターを少量入れると美味しくなり、若い方向きの味になります。
『雑学です』
天然のイノシシの脂身は熱いものを口に入れても火傷をすることはありません。
ベテランのハンターはイノシシの肉を鍋で煮ている間に天然物と養殖物の区別が付きます。
B、 イノシシの肉がたくさんあったら焼き肉をやりましょう。
季節の野菜やきのこ類なぞと一緒の焼き肉は楽しい。
炭火で焼くのが一番ですが、ホットプレートでも構いません。高級なバターでしっかり焼きましょう。
そこで普通に焼肉のタレで食べるのではなく、「山の物には山の塩、海の物には海の塩」を試して下さい。スーパー等へ行けば、お塩のコーナーに岩塩があります。
イノシシの焼肉には岩塩がとても合います、最高です。是非、チャレンジしてみましょう。
イノシシの肉は江戸時代には山鯨とか薬肉と言い、滋養効果の多い物で、高価かつ貴重な物でもありました。落語の中にも「池田の猪買い」と言って、元気のない者が栄養をつける為に大阪市内から池田市までイノシシの肉を買いに行く噺があります。 その時代はご存知のように一般には銃砲を所持する事が出来なかったのですから、そうそう簡単にイノシシを獲ることは出来なかったと思います。有名なのは「富士の裾野の巻き狩り」ですが、あれは殿様の遊びで庶民のものではありません。 現代のように銃砲が発達して、車で移動が出来て、情報連絡は無線機や携帯電話が使える時代でもイノシシは簡単には獲れません。
イノシシは雑食性の動物です。地中に潜んでいる昆虫やサナギやミミズを好んで食べます。野菜は根菜、葉物、穀物、豆、蛇や蛙、サワガニは大好きで、動物の死体なども食べます。 肉は豚肉と同等に扱って下さい。イノシシの生肉には寄生虫がいて危険です。 しっかりと熱を通して食べれば危険はありません。「冷凍して二、三日置けば、寄生虫も死滅するから生で食べても良い」と言う方も居ますが、私は冷凍のイノシシの肉に付着していたダニが肉の解凍と共に動き出した例を自分の目で見ておりますから、ウィルスや寄生虫が冷凍で死滅するとは俄かには信じ難い気が致します。
沖縄・西表島などでは刺身でも食べます。孤立した島で寄生虫に汚染されていない為に食べる事が出来ると言いますが、昨今、交通の便が良くなり人の往来が頻繁になり、それに伴って各種の微生物や雑菌も移動していると思われるので、個人的はお薦め出来ません。
1、 イノシシを獲るには「狩猟免許」と「狩猟者登録」が必要です。
狩猟免許には
| A | 網猟免許 | 網を用いて行う猟法 |
| B | わな猟免許 | わなを使用する猟法 |
| C | 第一種狩猟免許 | 散弾銃・ライフル銃・空気銃を使用する猟法 |
| D | 第二種狩猟免許 | 空気銃を使用する猟法 |
2、 猟者登録が必要です。
狩猟鳥獣はその種類と各都道府県により、狩猟期間が違います。
一般に11月15日から2月15日までで、その間に狩猟をするには、狩猟をする都道府県毎に狩猟者登録をし、狩猟税を納付しなければなりません。
※ テキスト等でこの辺りまで勉強すると煩わしくて頓挫する方が居ますが、経験者の指導を受ければ
それ程難しい問題でもありません。
3、 イノシシは何処に居るの
北海道を除く日本各地に居ます。北海道足寄町でイノブタの野生化が報告されていますが真意の方は不明です。沖縄方面に居るものは「リュキュウイノシシ」と言い少し小型です。
狩猟免許取得と銃砲を購入して、狩猟者登録をしても経験者が同行しなければイノシシの動きは分かりません、先ずは経験者の指導を仰ぎましょう。
4、 イノシシの現状
日本各地でイノシシやシカは急増して農林関係の被害はそれに正比例しています。
外来種のアライグマもブルーギルやブラックバスに同様で各地で繁殖しています。
その数は右肩上がりで留まる処を知りません。
5、 狩猟の現状
現在、金銭を目的として狩猟をする方は極僅かです。
ジビエ料理を楽しんだり、趣味としてアウトドアを楽しいんだりする方が殆どです。
また、狩猟や有害鳥獣駆除は増えすぎた鳥獣の数を適正に保つ為に農林関係には不可欠なものです。
しかし狩猟者人口は急激に減少して有害鳥獣駆除が存続出来ない地域もたくさんあります。
狩猟は年老いても出来る奥深い趣味です。若い方の参加を心よりお待ちしております。